島田荘司 『犬坊里美の冒険』 感想
| 犬坊里美の冒険 (光文社文庫) | |
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----あらすじ----
祭り中の神社に現れた腐乱死体が数分後に姿を消す、という世にも奇怪な事件が起こる。容疑者のホームレスは被疑者殺害の事実を認めており、弁護側である犬坊里美たちに対して事件に関する事には黙秘を貫く。容疑者の言動と態度に嫌悪感を抱きながらも、検察側の表明事実に違和感を感じた里美は、同じ司法修習生である芹沢、尾登とともに調査に乗り出す。驚天動地のトリックが炸裂する島田ワールドの最高峰!!
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御手洗シリーズ最強の癒しキャラ、犬坊里美が主役として活躍する本書。御手洗シリーズを最後に読んだのは二年以上も前になるでしょうか。同じく里美が登場する『龍臥邸幻想』ですが、こちらは御手洗不在の中石岡君が事件解決のため奮闘するというお話。この前作である『龍臥邸事件』に初登場した里美は当時高校生。ちょっと抜けた喋り方は九年経った今作でも健在で、彼女のキャラクターとしての魅力だけでもこの本を読む価値はあると思います。真剣に。『27歳にしては痛すぎる..』と批判する人もいるでしょうが、私は好きだからいいんです(爆
事件の方はと言えば、衆人環視の中で現れ数分後に消えた死体、という推理小説好きにとっては興味を惹かれる内容ではありますが、トリック自体は至って地味で、考えながら読めば結構見抜ける人もいると思います。しかしこの本の魅力はそういった推理小説としてのものではなく、冤罪で捕まったにも関わらず刑務所に入る事を望むホームレスを救おうと奮闘する里美の姿と、真相に拘らずただ漠然と現れた事実のみで簡単に片づけてしまう裁判制度の問題点を浮き彫りにしたストーリーにあるのではないでしょうか。真相を明らかにする事が果たして全て正義なのか、と言えば正義という観点がそれぞれである以上結論は出ませんが、少なくとも真相究明のためにひた走る里美の姿には何かを考えさせられます。
ただ最後の最後で犯人が急に「自首します」と言い出すのは頂けない。今まで散々ページ数をかけて語ってきた話があまりにも急速にしぼんでしまったようなイメージ。しかもその後犯人達が出てこないまま終わってしまうので、加害者側の本音も里美の推測でしか語られていない。500ページ以上もあるんだから最後もじっくり語って欲しかった。
ところでこの話は御手洗シリーズではありますが、御手洗潔本人は出てきません。
石岡君もちょろっと出てくるだけで、準レギュラーである松崎レオナが主役を務めた『ハリウッドサーティフィケイト』における御手洗とかなり近しい登場の仕方です。
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